父親の育児休暇(Paternity Leave)
以下の条件を全て満たす場合、配偶者またはパートナーの出産につき、男性従業員に3日間の育児休暇が付与されます。
男性従業員が新たに生まれる子供の父親(*1)であるか、またはもうすぐ父親になる場合
男性従業員が継続的雇用契約のもとで雇用されている場合
男性従業員が、雇用主に対して育児休暇取得のための通知を行っている場合
育児休暇の取得(Taking of Paternity Leave)
男性従業員は、以下の通知を雇用主に対して行う必要があります。
子供の出産予定日の少なくとも3箇月前までに父親の育児休暇を取得する意思の通知(この段階では、育児休暇の正確な取得日を通知することを要求されていません)。
実際に育児休暇を取得する前の取得日の通知(*2)
男性従業員が雇用主に対する3箇月前の通知を怠った場合、男性従業員は育児休暇を取得する少なくとも5日前に取得日を通知しなければなりません。
雇用主が要求する場合、従業員は次の事項を満たす書面を雇用主に提出する必要があります。
子供の母親の名前
出産予定日または実際の出産日
男性従業員が子供の父親であること
(*1) 雇用条例における父親の育児休暇の付与では、男性従業員が子供の母親と結婚している事実までは要求していません。
(*2) 雇用条例では、事前通知の方法までは規定されていません。
男性従業員は、出産予定日の4週間前から実際の出産日の10週間後までの間に、育児休暇を取得すること出来ます。男性従業員は一度に3日を取得することもできますし、別々の日に取得することも可能です。
父親の育児休暇手当(Payment for Paternity Leave)
男性従業員が、以下の条件を全て満たす場合、育児休暇手当を受け取る権利があります。
男性従業員が育児休暇取得日までに、継続的契約のもとで40週以上雇用されている場合
男性従業員が次のいずれか早い期日までに、雇用主に対して十分な書類を提出した場合
(ⅰ) 育児休暇を取得した初日から12箇月以内
(ⅱ) 男性従業員が雇用契約を解除した場合、雇用契約を解除してから6箇月以内
育児休暇手当の1日あたりの金額は、育児休暇取得日の直前12箇月間に男性従業員が受給した賃金を、該当する賃金算定期間のカレンダー日数で日割り按分し、それに4/5を乗じた額です。もし男性従業員が1日以上の連続した育児休暇を取得する場合、育児休暇手当の日額は、育児休暇初日の直前の12箇月間に男性従業員が受給した賃金を、該当する賃金算定期間のカレンダー日数で日割り按分し、それに4/5を乗じた額です。もし、男性従業員の雇用期間が12箇月未満の場合、その短い期間を基準に手当を計算します。
注意:平均日給の計算では、次の(1)と(2)を除外して計算します。
(1)賃金が全額支払われなかった期間、以下の期間を含みます。
休息日
法定休日
年次有給休暇
傷病休暇
産前産後休暇
父親の育児休暇
労災による休暇
雇用主の同意を得た休暇
雇用主から仕事を与えられなかった通常の勤務日
(2) 上記(1)の期間で支払われた賃金の合計額。
(詳細はAppendix 1をご参照ください。)
従業員が提出する書類(The document to be provided by the employee)
香港で生まれた場合:男性従業員が子供の父親であることを記載した出産証明書
香港以外で生まれた場合:出生地の行政機関にて発行され、男性従業員の名前が子供の父親であることが記載された出産証明書(もし行政機関にて出生証明書が発行されない場合、男性従業員が子供の父親であることを正当に証明できる機関によって発行された他の書類)
注意:
香港以外の行政機関が発行した出産証明書の例は、労工処のWebページにて閲覧することができます。
死産または出産後に子供が死亡したことによって、出産証明書が発行されない場合:(If the child is born dead or dies after birth and no birth certificate has been issued in respect of the child:)
従業員は、子供の誕生を証明する診断書を雇用主に提出する必要があります。
雇用主が要求した場合、従業員は以下の事項を記述した書面を雇用主へ提出しなければいけません。
男性従業員は、診断書に記載された女性から生まれた子供の父親であること
子供が死産または出産後に死亡したこと
(*3)香港以外で生まれた場合、従業員は診断書または、子供が生まれたことが正当に証明できる出生地の機関によって発行されたその他の書類を提出する必要があります。
育児休暇手当の支払期日(Time limit for payment of paternity leave)
もし、男性従業員が、育児休暇の取得前に、要件を満たす書類を雇用主に提出した場合、雇用主はその従業員に対して、以下の条件に従って育児休暇手当を支払わなければいけません。
育児休暇手当の支払は、育児休暇取得後の次の賃金支払日に支払う必要があります。
男性従業員の雇用契約を解除した場合は、雇用契約が解除されてから7日以内に育児休暇手当を支払う必要があります。
もし従業員が、育児休暇の取得後に要件を満たす書類を雇用主に提出した場合は、雇用主は男性従業員に対して、以下の条件に従って育児休暇手当を支払わなければいけません。
要件を満たす書類が提出された後、最初の賃金支払日までに育児休暇手当を支払う必要があります。
男性従業員の雇用契約を解除した場合は、書類の提出後から7日以内に育児休暇手当を支払う必要があります。
違反と罰則(Offences and Penalties)
父親の育児休暇または育児休暇手当を支払わなかった雇用主が、起訴され有罪となった場合、最大5万ドルの罰金に処せられます。
その他の注意点:
雇用主および従業員は、育児休暇および育児休暇手当の付与・請求のために、子供の母親に関する個人データの開示・取扱いにおいて、個人情報保護条例(第486章)の義務にもとづいて、慎重になる必要があります。雇用主は、子供の母親の個人情報を開示する前に、その母親に事前の同意を得ることについて従業員に注意を促すことが望まれます。質問がある場合は、雇用主および従業員は個人資料私隠専員公署(the Office of the Privacy Commissioner for Personal Data; OPCPD)に相談してください。
全ての雇用主は、各従業員の直近12箇月の雇用期間をカバーする賃金と雇用の記録を常に保存しておかなければいけません。
特に、これらの記録には従業員が取得した育児休暇および支給された育児休暇手当に関する詳細が含まれている必要があります。