年次有給休暇(PAID ANNUAL LEAVE)
従業員は継続的雇用契約によって12箇月間雇用された後に、年次有給休暇を取得できる権利が付与されます。従業員の年次有給休暇の権利は、勤続年数に応じて7日から最大14日まで徐々に増加します(下表のとおり)。
年次有給休暇の付与(Granting of Annual Leave)
従業員は、年次有給休暇が付与された年度の12箇月間が終わった後、次の12箇月間で有給休暇を取得することができます。
年次有給休暇の取得日は、従業員または従業員の代理人と相談し、雇用主が指定しなければいけません。通知の期間に関する合意がなければ、雇用主は少なくとも14日前に従業員に書面で通知する必要があります。
年次休暇は分割しないで付与されるべきです。ただし、従業員の要求に応じて、雇用主は以下の方法で年次休暇を付与することができます。
年次有給休暇の取得期間に、休息日または法定休日があれば、他の日に休息日または法定休日を振替える必要があります。
年次有給休暇手当(Annual Leave Pay)
年次有給休暇の1日あたりの支払は、「指定日」直前の12箇月間に付与された賃金を日数で平均して計算します(平均日給)。
注意:平均日給の計算では、次の(i)と(ⅱ)を除外して計算します。
(i)賃金が全額支払われなかった期間、以下の期間を含みます。
休息日
法定休日
年次有給休暇
傷病休暇
産前産後休暇
父親の育児休暇
労災による休暇
雇用主の同意を得た休暇
雇用主から仕事を与えられなかった通常の勤務日
(ⅱ) 上記(ⅰ)の期間で支払われた賃金の合計額。
年次有給休暇手当は、年次有給休暇を取得した直後の賃金支給日に支払う必要があります。
違反と罰則(Offences and Penalties)
合理的な理由がなく、年次有給休暇を付与しなかった雇用主は、起訴される可能性があり、有罪となった場合は最高HK$50,000の罰金が課せられる。
年次有給休暇手当を支払わなかった雇用主が、有罪となった場合は最高HK$50,000の罰金が課せられる。
年次有給休暇の買取り制限(Restriction on Pay in lieu of Leave)
従業員は、年次有給休暇の10日を超える日数については買取りを選択できる。
雇用契約終了時の年次有給休暇の買取り(Payment of Annual Leave Pay on Termination of Employment Contract)
年次有給休暇の年度とは、雇用開始日から始まる12箇月の期間と、その後の12箇月ごとの期間です。ある年次有給休暇の年度内で、従業員の雇用契約が終了した場合は、雇用の理由に係わらず、取得していない年次有給休暇を買取ってもらうことができます。
年次有給休暇のを計算する際は、「雇用契約の終了日」を「指定日」とします(「指定日」については、前述の「年次有給休暇手当」を参照)。
重大な不当行為による懲戒解雇された場合を除いて、ある年次有給休暇年度において3箇月以上12箇月未満雇用されていれば、年次有給休暇手当の按分額を受け取ることができます。
雇用契約解除時における年次有給休暇手当の計算(Calculation of Annual Leave Pay on Termination of Employment Contract):
(*)直前の休暇年度における、未取得の年次有給休暇権利日数のことです。
共同休暇年度(Common Leave Year)
雇用者は、すべての従業員の共同休暇年度として、連続した12箇月間を選ぶことができます。 雇用主が共同休暇年度を採用する場合は、書面で各従業員に対して1箇月前の通知を行うか、または雇用場所の目立つ位置に通知を掲示する必要があります。
共同休暇年度内に、従業員の勤務期間が12箇月に満たない場合、その従業員の年次有給休暇は按分して付与されます。その按分計算の結果生じた1日未満の端数は1日として計算します。
雇用主と相談した後、従業員は共同休暇年度の開始前に発生した年次有給休暇を取得するか、またはそれを繰越し、次の年次有給休暇年度に発生した休暇の取得日数に加えて取得することができます。
【例】
共同休暇年度 :2010年1月1日から2010年12月31日まで
雇用開始日 :2010年9月1日
年次有給休暇の日数按分:122 ÷ 365 × 7 = 23.4日(切り上げて3日とする)
(*122は2010年9月1日から2010年12月31日までの日数)
従業員は、3日を2011年に取得してもよく、または2011年度に付与される7日の年次有給休暇と合わせて2012年度に10日を取得してもよい。
一斉休業(Annual Leave Shutdown)
雇用主が従業員に年次有給休暇を与えるために、事業全部または事業の一部を閉鎖しようとする場合、少なくとも1箇月前までに従業員に対して書面で通知しなければなりません。
一斉休業期間中に、まだ年次有給休暇を取得する権利がない従業員が、一斉休業のために仕事を停止しなければならない場合、その従業員に対して一斉休業期間中に追加の年次有給休暇を与えなければいけません。
従業員の年次休暇が一斉休業の日数を超える場合、休暇の直後に残りの年次有給休暇を取得することができます。
雇用主が年次有給休暇のために一時的に事業の全部または一部を終了しなくなった場合、雇用主が指定した休日の年は、休暇の一時停止が事業開始前の事業停止前の年に属するため変更されません。
雇用主によって選ばれた共同休暇年度は、直前の年次有給休暇年度に関連して付与されたものと見なされるため、一斉休業により影響を受けることはありません。