産前産後休暇(Maternity Leave)
継続的雇用契約のもとで雇用されている女性従業員が、雇用主に対し妊娠したことを通知した場合は、その女性従業員は次の産前産後休暇を取得することができます。
連続10週間の産前産後休暇
出産予定日より実際の出産が遅れた場合、出産予定日から実際の出産日までの追加の休暇期間
妊娠あるいは出産に起因する病気や障害によって、10週間の産前産後休暇に最大4週間の休暇を追加することができます
産前産後休暇の取得(Taking of Maternity Leave)
雇用主の同意があれば、妊娠している従業員は産前産後休暇の開始の時期を、出産予定日の4週間前から2週間前の間に決定することができます。
従業員が産前産後休暇の開始日時期を指定しない場合、または雇用主の同意を得ることを怠った場合、従業員は出産予定日の4週間前に産前産後休暇を開始しなければいけません。
産前産後休暇の開始前に出産した場合には、出産日から産前産後休暇が開始されます。この場合、従業員は出産日に関する通知を雇用主に提出し、出産日から7日以内に雇用主に対し10週間の産前産後休暇を取得する意思を伝えなければいけません。
産前産後手当(Payment for Maternity Leave)
従業員は以下の条件に該当する場合、産前産後手当を受給することができます。
女性従業員が産前産後休暇開始日の前までに、継続的雇用契約のもとで40週以上雇用されている場合。
妊娠が確認された女性従業員が、雇用主に対して妊娠の事実と産前産後休暇を取得する意思を通知している場合。例えば、女性従業員が妊娠を確認できる診断書を雇用主に提示した場合など。
雇用主の要求に従って、女性従業員が出産予定日の確認できる診断書を提出した場合。
前産後休暇は10週間の有給期間とし、産前産後休暇手当は従業員の通常の賃金支給日に支払わなければなりません。
出産休暇の1日当たりの手当は、出産休暇開始日の直前12箇月の期間に女性従業員が獲得した1日あたりの平均賃金の5分の4に相当する額です。 女性従業員が12箇月未満の雇用者である場合、より短い期間に基づいて計算します。
注意:平均日給を計算する場合、雇用主は以下の条件を除かなければならない。
休息日、法定休日、年次有給休暇、傷病日、産前産後休暇、就業中のケガによる休暇、雇用主の同意を得た休暇、および雇用主から仕事を与えられなかった勤務日を含む、従業員に一部または全部の賃金が支払われなかった期間
上記の期間に支払われた賃金の合計額
違反と罰則(Offences and Penalties)
産前産後休暇または産前産後手当を付与することを怠った雇用主が起訴され、有罪となった場合は最大HK$50,000の罰金が課せられます。
妊娠に関連する検診(Medical Examination)
妊娠に関連する検診、産後の治療、または流産のために女性従業員が欠勤した場合、適切な診断書があれば、欠勤日を傷病日としてカウントする(第5章の有給傷病日の2分類と、本章の診断書の項目を参照)。
雇用の保護(Employment Protection)
次の両条件を満たす場合、雇用主は、妊娠した従業員を、医師の診断書により妊娠していることが確認された日から、産前産後休暇終了後に職場復帰する予定日まで、解雇することを禁じています。
女性従業員が継続的雇用契約のもとで雇用されている場合
女性従業員が雇用主に妊娠を通知した場合
妊娠中の女性従業員が妊娠の通知をする前に雇用主によって解雇された場合、彼女は解雇の通知を受けた直後に妊娠の通知を行うことができます。 このような場合では、雇用主は解雇または解雇通知を取り下げる必要があります。
ただし、次のいずれかの状況では、雇用主が妊娠した従業員を解雇することを禁じられていません。
女性従業員の重大な不正行為のため、懲戒解雇される場合。
試用期間中であると明示的に合意されており、雇用主が12週間以下の試用期間中に妊娠以外の理由で、女性従業員を解雇する場合。
違反と罰則(Offences and Penalties)
上記の場合を除き、雇用者が妊娠した女性従業員を解雇することは違法です。 雇用主は起訴され、有罪となった場合は最高でHK$10の罰金刑に処せられます。 また、雇用者は、解雇された従業員に対して、次の金額の合計を解雇の日から7日以内に支払わなければなりません。
解除予告手当
補償金(*)として、1箇月の賃金に相当する追加の金額
懲戒解雇の場合を除いて、女性従業員が受け取ることのできたであろう10週間の産前産後手当
(*)計算の詳細については、Appendix 1を参照してください。
女性従業員が、法令で定める正当な理由以外で解雇された場合、雇用主に対する雇用保護の救済措置を請求することができます(第10章の雇用保護の適格要件および救済をご参照ください)。
重労働、危険業務、有害業務への就業命令の禁止(Prohibition of Assignment of Heavy, Hazardous or Harmful Work)
重量物の取り扱い業務、妊婦にとって有害なガスが発生する場所での作業、または妊娠に害を及ぼすと診断書に明記されたその他の作業に対し、従事することが不適切であるとの診断書を、妊娠中の従業員が提出した場合、雇用主はそのような業務に妊娠中の従業員を配置してはいけません。従業員が既にそのような作業を行っている場合、雇用主は、要求を受けてから14日以内に、その作業から彼女を取り除かなければなりません。
従業員から提出された診断書が、登録医または登録中医ものであるかどうかに係わらず、雇用者がその診断書を受領してから14日以内に、問題がある業務を遂行できるかどうかを判断するために、雇用主の実費で、雇用主が指定する登録医または登録中医が実施する健康診断を従業員に受けさせることを要求することができます。
雇用条例では、従業員の賃金が、重労働、危険業務あるいは有害な
労働からの異動によって影響を受けた場合、産前産後手当または解雇時の最終賃金は、職務に変更があった直前12箇月間に従業員が得た平均日額または平均月額に基づいて計算することを規定しています(計算の詳細についてはAppendix 1を参照してください)。
違反と罰則(Offences and Penalties)
正当な理由がなく、上述の要求に従わなかった雇用主は、起訴されて有罪となれば最大HK$5万の罰金刑に処せられます。
診断書(Medical Certificates)
従業員は、雇用主が要求する場合、母性保護の恩恵を受けるために、登録医、登録中医または登録助産士が発行した診断書を提出しなければなりません。 詳細については、次の表を参照してください。