傷病手当を受給できる権利(Eligibility for Sickness Allowance)
継続的雇用契約に基づいて雇用されている従業員は、以下の条件をみたすことで、傷病手当を受給することができます。
傷病休暇は連続4日以上の場合(但し、女性従業員が妊娠検査、出産後の治療または流産のために女性従業員が休業する日は、4日未満であっても、次の条件を満たしている場合は、傷病手当を支払わなければいけません)。
傷病休暇が適切な診断書によって証明されている場合(以下の「有給傷病日の2つの分類」を参照)。
従業員は、取得に十分な有給傷病日を累積している場合(以下の「有給傷病日の累積」と「有給傷病日の2つの分類」を参照)。
以下の条件においては、従業員に有給傷病日が付与されません。
正当な理由がなく、認定医療制度のために指定した医師による治療を従業員が拒否した場合、またはその医師の指導に従わない場合(雇用主が認定医療処置制度を導入している場合で、その医療機関が専門分野をカバーしていないとき、従業員は登録医、登録中医または登録歯科医師に相談することを選ぶことができます)。
労働者が法定休日手当を受給できる日と、傷病日が重なった場合
労働者災害補償法により補償が支払われる場合
傷病手当(Sickness Allowance)
傷病手当1日あたりの金額は、指定日の直前12箇月に従業員が受給した賃金に5分の4を乗じた額です。もし従業員が12箇月より短い期間しか雇用されていない場合は、その短い期間で計算します。
注意:
平均日給を計算する際には、以下を除外する必要があります。
日数:休息日、法定休日、年次有給休暇、傷病休暇日、産前産後休暇、男性の育児休暇、業務中のケガによる休暇、または雇用主の同意を得た休暇、及び雇用主により仕事が提供されない勤務日
金額:その期間に従業員に支払われた賃金(詳細はAppendix1を参照)。傷病手当は、通常の賃金支払日までに支払わなければいけません。
違反と罰則(Offences and Penalties)
合理的な理由なく、従業員に傷病手当が支払われない場合、雇用主は起訴され、有罪となった場合は、最高HK$50,000の罰金が課せられます。
有給傷病日の累積(Accumulation of Paid Sickness Days)
継続的雇用契約に該当する従業員には、有給傷病日が累積されていきます。最初の12箇月間は1箇月雇用されるごとに2日ずつ累積し、2年目以降は1箇月雇用されるごとに4日ずつ累積されます。有給傷病日は最高120日まで累積されます。
有給傷病日の2つの分類(Two Categories of Paid Sickness Days)
有給傷病日は、2つに分類されます。
36日まではカテゴリー1に累積されます。
その後、84日まではカテゴリー2に累積されます。
(*)診断書には、病気やケガのために従業員が働けない日数を記載しなければならない。
傷病日の記録(Record of Sickness Days)
雇用主は、次の記録を保存しなければいけません。
各従業員の雇用開始日および雇用解除日
各従業員により累積された、カテゴリー1およびカテゴリー2の有給傷病日数を含んだ全ての有給傷病日
各従業員によって取得された有給傷病日、および各カテゴリーの合計有給傷病日から控除された有給傷病日
傷病手当の支払い金額、および傷病手当が支払われた傷病日
従業員が職場復帰した日から7日以内に、傷病日の記録に従業員が署名することが必要で、また従業員には傷病日の記録を確認する権利があります。
有給傷病休暇中の雇用の保障(Employment Protection)
従業員が重大な不当行為を犯したことによる懲戒解雇の場合を除き、雇用主が有給傷病休暇を取得している従業員を解雇することはできません。
違反と罰則(Offences and Penalties)
上記の規定を遵守しない雇用主は、最高HK$100,000の罰金が課せられます。雇用主は、次の金額を雇用契約の終了から7日以内に解雇した従業員に支払わなければいけません。
解雇予告手当
補償金(**)として7日分の賃金に相当する金額
従業員が受け取ることができる傷病手当の全額
(**) 計算方法の詳細はAppendix1を参照ください。
雇用条例に定められている有効な理由以外で、従業員が解雇された場合、従業員は雇用の保護に関する救済を雇用主に対して請求することができます。